レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジといえば、腰の位置まで低く下げて構えた、あのレスポールの姿を思い浮かべる人が多いはずです。
ただ、ここで一つ整理しておきたいことがあります。ペイジの「黒いレスポール」と「サンバーストのレスポール」は、まったくの別物だということです。黒いほうがレスポール・カスタム、通称「Black Beauty(ブラック・ビューティー)」。ネットで検索すると、この2つを混同したまま書かれた記事が驚くほど多いのが実情です。
私は中学からギターを弾き続けて約40年、レッド・ツェッペリンの曲もずいぶんコピーしてきました。3大ギタリストを研究してきた立場から、この記事ではペイジの黒いレスポール=Black Beauty「1本」に絞って徹底的に掘り下げます。
正体と仕様、サンバーストのNo.1・No.2との違い、185ポンドで出会ってから空港で盗まれ45年ぶりに戻ってきた数奇な物語、あの音を出す方法、そして今から手に入れる方法まで——Black Beautyについて知りたいことを、この1本にまとめました。
ジミー・ペイジのレスポール・カスタム「Black Beauty」とは?1分で解説
先に結論からお伝えします。
ジミー・ペイジの「黒いレスポール」の正体は、1960年製のGibson Les Paul Custom(ギブソン・レスポール・カスタム)。通称「Black Beauty(ブラック・ビューティー)」と呼ばれる1本です。
ペイジがこのギターを手に入れたのは1962年。ロンドンの楽器店の壁に掛かっていたのに一目惚れし、当時のお金で約185ポンドで購入しました。まだレッド・ツェッペリンを結成する前、彼がスタジオのセッション・ギタリストとして活動していた時代のことです。
まずは基本情報を押さえておきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Gibson Les Paul Custom(1960年製) |
| 通称 | Black Beauty(ブラック・ビューティー) |
| カラー | エボニー(黒) |
| ピックアップ | 3基のPAFハムバッカー(3ピックアップ仕様) |
| ブリッジ | ビグスビーB7トレモロ・ユニット |
| ハードウェア | ゴールドメッキ(後にグローバー製チューナーに変更) |
| 入手 | 1962年・ロンドンで約185ポンド |
| 主な使用時期 | セッション時代〜初期レッド・ツェッペリン |
| 現在地 | ジミー・ペイジ本人所有(2019年メトロポリタン美術館で展示) |
この表を見て「あれ?」と思った方もいるかもしれません。ペイジのレスポールといえばサンバーストのイメージが強いのに、Black Beautyは黒で、しかもピックアップが3つある——そう、ここがいちばん多くの人が混乱するポイントなのです。
実は、ペイジは黒いカスタムとは別に、サンバーストの「No.1」「No.2」と呼ばれるレスポールも使っていました。この3本は、色もピックアップの数もモデルも違う、まったくの別物です。次の章で、その違いをきっちり整理します。ここを分かっておくと、ペイジの機材の話がぐっとクリアになります。
【混同注意】No1・No2とカスタムは別物!ペイジの黒いレスポールの正体
この記事でいちばん伝えたいのが、この章です。
ジミー・ペイジがレッド・ツェッペリンで使ったメインのレスポールは、大きく分けて3本あります。Black Beauty(黒のカスタム)/No.1(サンバースト)/No.2(サンバースト)。この3本は名前も見た目も役割も違うのに、ネット上ではしばしば「ペイジのレスポール」と一括りにされ、混同されています。ここをスッキリさせておきましょう。
KOTOBUKIペイジのレスポールって、全部サンバーストじゃないの?



そこがまさに混同ポイントなんだ。黒いのがカスタム=Black Beauty、サンバーストがNo.1・No.2のスタンダード。同じ「ペイジのレスポール」でも、別物として整理すると一気に分かりやすくなるよ。
Black Beauty=黒・3ピックアップの「カスタム」
まず黒いほう、Black Beauty。これは「レスポール・カスタム」というモデルです。カスタムはスタンダードの上位機種にあたり、豪華なバインディング(縁取り)やゴールドパーツを備えた高級ライン。ペイジのものは3ピックアップ仕様という、カスタムの中でも特に珍しい個体でした。使われたのは主にセッション時代〜初期ツェッペリンで、「Whole Lotta Love(胸いっぱいの愛を)」のレコーディングもこのギターです。
No.1・No.2=サンバースト・2ピックアップの「スタンダード」
一方、みんながイメージする「あのサンバーストのレスポール」が、No.1とNo.2です。こちらは「レスポール・スタンダード」というモデルで、1958〜59年製とされるビンテージ(製造年には諸説あり)。ピックアップは2つ。ペイジがステージで低く構えて弾いていた姿の多くは、このサンバーストのスタンダードです。No.1がメイン、No.2がサブ兼改造機(複雑な配線で知られます)という関係でした。
早見表:3本の違いが一目でわかる
言葉だと分かりにくいので、表で並べます。
| 項目 | Black Beauty | No.1 | No.2 |
|---|---|---|---|
| モデル | レスポール・カスタム | レスポール・スタンダード | レスポール・スタンダード |
| 色 | 黒(エボニー) | サンバースト | サンバースト |
| ピックアップ | 3基(PAF) | 2基 | 2基 |
| 製造年 | 1960年 | 1958/59年(諸説あり) | 1959年 |
| 主な使用時期 | セッション〜初期ZEP | ZEP全盛期のメイン | サブ・改造機 |
| 特徴 | ビグスビー・盗難帰還の伝説 | ネックを削った弾きやすさ | 複雑な配線・コイルタップ |
この表からわかるいちばん大事なポイントは、「黒=カスタム=3PU、サンバースト=スタンダード=2PU」という区別です。これさえ押さえておけば、ペイジのレスポールの話で迷子になることはありません。
言葉での整理に加えて、映像でも確認しておくと理解が深まります。ペイジが所有したレスポールを、価格の高い順にNo.1・No.2・カスタムまで解説してくれている動画がこちらです。
さて、この記事の主役はあくまで黒いほう=Black Beautyです。次の章では、そのBlack Beautyのスペックをさらに深く解剖していきます。
Black Beautyのスペック徹底解剖【3PAF・ビグスビー・ゴールドパーツ】
Black Beautyが「ただの黒いレスポール」ではない理由は、そのスペックにあります。ここでは、このギターを特別な1本にしている要素を、順番に解剖していきます。
3つのPAFハムバッカーが生む万能性
Black Beauty最大の特徴が、3基のPAFハムバッカーです。通常のレスポールはピックアップが2基ですが、このカスタムはミドル(真ん中)にもう1基を加えた3基仕様。
なぜ3基なのか。ここにペイジの当時の状況が関係しています。1962年当時の彼は、あらゆるジャンルのレコーディングに呼ばれるセッション・ギタリストでした。ロックからポップス、フォークまで、その日その日で求められる音が違う。3つのピックアップとその組み合わせがあれば、1本で幅広い音色をカバーできる——Black Beautyは、まさに「なんでも屋」だった当時のペイジにとって完璧な相棒だったわけです。
ちなみにPAF(Patent Applied For)とは、1950年代後半〜60年代前半のギブソン製ハムバッカーのこと。今では1基で数十万円の値がつくこともある、ビンテージ・サウンドの代名詞です。それが3基。それだけでこのギターの価値が伝わると思います。
ビグスビーB7トレモロという個性
もう一つの特徴が、ボディに載ったビグスビーB7トレモロ・ユニットです。レスポールというと固定ブリッジのイメージが強いですが、Black Beautyにはアーム(トレモロ)が付いていました。これにより、ゆるやかなビブラートや音程の揺れを加えることができます。ビグスビー特有の、ぬめっとした揺れは、固定ブリッジのレスポールでは出せない表情です。
ゴールドパーツとエボニー・フィニッシュ
そして見た目。黒(エボニー)のボディに、金色(ゴールドメッキ)のハードウェア。この組み合わせが「Black Beauty=黒い美人」という愛称の由来です。ペグ(糸巻き)は後にグローバー製に交換されていますが、この黒×金の高級感は、レスポール・カスタムというモデルの象徴でもあります。
- 3基のPAFハムバッカー(セッション時代の万能性)
- ビグスビーB7トレモロ(固定ブリッジにはない表情)
- 黒×金の高級感(カスタムの象徴)
これらのスペックが、初期レッド・ツェッペリンのあの音を作りました。しかし、このギターの物語は、音だけでは終わりません。次の章では、Black Beautyが辿った信じられないような数奇な運命——空港での盗難から45年ぶりの帰還までを追います。
185ポンドの出会いから空港盗難、45年ぶりの奇跡の帰還まで
Black Beautyがギターファンの間で語り継がれているのは、その音や仕様だけが理由ではありません。このギターには、映画のような数奇な運命がありました。
185ポンドの運命の出会い(1962年)
すべては1962年、ロンドンの楽器店から始まります。まだ10代のセッション・ギタリストだったペイジは、店の壁に掛かっていた1本の黒いレスポール・カスタムに一目惚れします。値段は約185ポンド。決して安い買い物ではありませんでしたが、彼はこのギターを手に入れました。
後にペイジは、初めて弾いた時の感覚をこう振り返っています。「これだ。これが探していた1本だ」。その直感の通り、Black Beautyはヤードバーズ時代から初期レッド・ツェッペリンまで、彼のメインギターとして活躍します。3ピックアップの幅広い音は、セッションの現場でどんな要求にも応えられる武器でした。
このセッション時代のペイジの仕事ぶりは、こちらの動画で存分に味わえます。Black Beautyがどれだけ多彩な現場をこなしていたかが伝わってきます。
1970年、空港での悪夢
ところが1970年、悲劇が起こります。レッド・ツェッペリンの北米ツアー中、ミネアポリス・セントポール国際空港で、Black Beautyは荷物係によって盗まれてしまったのです。ペイジがこのギターを最後に弾いたのは、その少し前。皮肉にも、彼の26歳の誕生日に行われた伝説的なライブが、Black Beautyとの最後のステージになりました。
ペイジは諦めませんでした。ローリング・ストーン誌に「質問無用で買い戻す」という広告を出し、長年にわたって探し続けます。しかし、ギターは杳として行方が知れませんでした。
そのアルバートホール公演をはじめ、Black Beautyのサウンドについて、こんな声も見かけました。
「アルバートホール公演の音がヤバい」「3ハムのレスポールカスタムでしょうか」——まさにその通り、あの怪物のようなサウンドはBlack Beautyによるものです。そしてこのアルバートホールの映像が、のちに奇跡を起こすことになります。
2014年、ブラックライトが暴いた真実
盗難から約45年。ミネアポリスの楽器店に、1本のレスポール・カスタムが持ち込まれます。「これはペイジから盗まれたものかもしれない」——しかし、ペイジが施していたはずの追加スイッチの穴は塞がれ、綺麗に再塗装されていたため、当時は本物と確認できませんでした。
決め手になったのは、2014年の修理でした。ギターにブラックライトを当てたところ、塞がれていたスイッチの穴の跡が浮かび上がったのです。さらに、あの1970年のロイヤル・アルバート・ホール公演の映像に映っていた「12フレットのインレイにある特有の模様(ストライプ)」と完全に一致。これで、本物であることが証明されました。
2015年、45年ぶりの帰還
そして2015年11月12日。プロデューサーの手によって、Black Beautyはついにジミー・ペイジの元へ帰ってきました。45年の時を経ての再会です。ネックを握った瞬間、ペイジはそれが本物だとすぐに分かったといいます。彼はこう言いました。「もう二度と手放さない。これからは常にそばに置く」。
その後、Black Beautyは2019年、ニューヨークのメトロポリタン美術館で開催された「Play It Loud」展で、帰還後初めて公の場に姿を現しました。盗まれ、諦めかけられ、そして戻ってきた1本のギターは、いまや美術館に展示されるロックの至宝です。
これほどの物語を背負ったギター。では、その音を私たちが手にすることはできるのでしょうか。次はサウンドの話に移ります。
6ウェイ・スイッチの謎:ペイジは黒レスポールで何を鳴らしたか
Black Beautyを語るうえで避けて通れないのが、ペイジが施した配線の改造です。ここは私自身が配線をいじった経験があるわけではないので、公式情報や資料をもとに、できるだけ噛み砕いて説明します。
ペイジの改造:トグルスイッチの増設
ペイジは、Black Beautyのピックガード下などに独自のトグルスイッチを増設していました。目的は、3つのピックアップのオン/オフや、フェイズ(位相)のコントロール。要するに、標準のセレクタースイッチだけでは出せない音の組み合わせを、自分の手で作り出せるようにしていたわけです。
セッション・ギタリストとして、どんな現場でも即座に求められる音を出す必要があったペイジにとって、この改造は「音のバリエーションを増やす」実用的な工夫でした。見た目の派手さではなく、あくまで実戦のための改造だったのが、いかにもペイジらしいところです。
2008年シグネチャーの「6ウェイ・スイッチ」で再現
この改造は、2008年にギブソン・カスタム・ショップが発売したBlack Beautyのシグネチャー・モデルで、6ウェイ・トグル・スイッチとして再現されました。この6ウェイスイッチで何ができるのか、ポイントを整理します。
- 通常3ポジションの各ポジションに、ミドル・ピックアップを加えた音を出せる
- プッシュ/プル・ポットと組み合わせ、一般的な3PUレスポールでは出せない多彩な組み合わせが可能
- ハムバッカーをシングルコイルのように鳴らす「コイルタップ」も操れる



6ウェイスイッチって、結局何ができるの?



ざっくり言うと、普通のレスポールより音の切り替えの幅がぐっと広がるんだ。特にハムをシングルっぽく鳴らすコイルタップは、ペイジ・サウンドの隠し味だね。抜けのいい音とぶっとい音を1本で行き来できる。
なぜこの配線がペイジ・サウンドの鍵なのか
レッド・ツェッペリンの音を聴くと、曲によって、あるいは同じ曲の中でも、ギターの表情がめまぐるしく変わることに気づきます。図太いリフの音、繊細なアルペジオ、鋭く抜けるリード——これらを1本のギターでこなす背景には、こうした多彩な配線がありました。
ハムバッカー特有の太さを持ちながら、必要な瞬間にシングルコイルのような煌めきを出せる。この振れ幅こそが、ペイジのサウンドが「怪物みたいだ」と評される理由の一つだと、私は考えています。
配線の仕組みが分かったところで、次はいよいよ、そのBlack Beautyの音を私たち自身が出すにはどうすればいいか——ツェッペリンを鳴らすための話に移ります。
Black Beautyの音でツェッペリンを鳴らすには【40年弾いた実感】
ここまで読んで、「じゃあ、あのペイジの音を自分でも出せるのか?」と思った方も多いはずです。私自身、レッド・ツェッペリンの曲は40年のギター人生でずいぶんコピーしてきました。その経験も交えながら、Black Beautyの音に近づくポイントをお話しします。
まず知っておきたい:ギターだけでは音は決まらない
最初に、少し現実的な話をします。Black Beautyの音は、ギター本体だけで決まるわけではありません。むしろ、アンプとピッキングの比重が非常に大きいのです。
初期レッド・ツェッペリンの音を作ったのは、Supro(スプロ)のアンプと、トーンベンダー(Tone Bender MK II)のファズでした(1stアルバムの音がこれです)。その後、1969年頃からMarshall 1959 Super Leadがメインになっていきます。つまり、あの独特の太い歪みは、レスポールとファズとアンプの合わせ技だったわけです(出典:Ground Guitar、Reverb News)。
ペイジ本人が明かした「音の出し方」
ペイジ自身が語っている、音作りのコツがあります。ブリッジ側のピックアップを使い、ギターのトレブル(高音)をかなり高めに設定すること。ペイジのトーンはシャープで切れ味があり、音の輪郭がくっきりしています。トレブルを絞ったりネック側ピックアップに切り替えたりすると、あの「噛みつくような」感じが失われてしまう——これは実際に弾いてみると、なるほどと膝を打つアドバイスです。
私がツェッペリンをコピーしていた頃も、リフの図太さと、リードの抜けの良さを両立させるのに苦労しました。答えは「ブリッジ寄り+トレブル高め+しっかりしたピッキング」。ペイジの言葉と、自分の手が出した結論が一致した時は、少し嬉しかったのを覚えています。
レスポール・カスタムを手に取ると、こうして弾くのが楽しみで仕方なくなる——その気持ち、40年弾いてきた身としてよく分かります。
友人が持つ1975年製カスタムの音
実は私の友人が、1975年製のギブソン・レスポール・カスタム(チェリーレッド)を長年メインギターとして愛用しています(その出会いの物語は、私の別ブログ「Toy-Music-Blog」に本人が寄稿してくれました)。ペイジのBlack Beauty(1960年製・黒・3PU)とは年代も色もピックアップ数も違いますが、レスポール・カスタムというモデルに共通する「分厚い音の存在感」と「心地よく伸びるサスティーン」は、間近で聴くと本当に惚れ惚れします。
カスタムというモデルは、スタンダードとはまた違う、独特の品格のある音を持っています。ペイジがセッションの現場でこのモデルを選んだ理由が、実際の音を聴くと腑に落ちるのです。
音の出し方が見えてきたところで、最後の実用パートです。「本物は無理でも、Black Beautyの音を手に入れたい」——そんな方のために、買えるシグネチャーモデルと現実的な代替を紹介します。
買えるBlack Beauty:シグネチャーモデルと現実的な代替ガイド
「Black Beautyの音や物語は分かった。じゃあ、自分で手に入れられるのか?」——ここからは、実際に買う話をします。本物は美術館に収まっていますが、その世界を味わう手段はちゃんとあります。予算別に整理しました。
Gibson公式シグネチャー(2008 Black Beauty ほか)
まず、最も「本物」に近いのが、ギブソン・カスタム・ショップが2008年に発売したJimmy Page Signature Les Paul Custom「Black Beauty」です。世界限定500本(うち25本はペイジ本人のサイン入り)という希少なモデルで、3基のPage Burstbuckerピックアップと、H2-5で解説した6ウェイ配線を忠実に再現しています。
ただし価格は相応です。中古市場では約230万円前後(およそ15,995ドル〜)が目安で、サイン入りやコンディションの良い個体はさらに高額になります(2026年時点の海外相場・国内実売は変動)。まさに「一生モノ」の世界です。
なお、ペイジのシグネチャーはBlack Beauty以外にもあり、それぞれ搭載ピックアップが異なります。No.1やNo.2のシグネチャーもあるので、狙う音で選び分けるとよいでしょう。
この動画で、2008シグネチャーの実際の音が確認できます。あの黒いカスタムの質感が、現代の楽器で蘇っているのが分かります。
予算別・現実的な代替モデル
「230万円はさすがに……」という方がほとんどだと思います。安心してください。レスポール・カスタムの黒×金の世界は、もっと現実的な価格でも味わえます。
| 予算 | 選択肢 | ポイント |
|---|---|---|
| 10万円前後 | Epiphone Les Paul Custom Ebony | ギブソン系の入門。黒×金の見た目と厚みのある音を手頃に |
| 18〜20万円 | Epiphone Inspired by Gibson Custom Les Paul Custom | 上位版。より本格的な作りとサウンド |
| 40万円〜 | Gibson USA Les Paul Custom | 本家ギブソンのカスタム。所有満足度が高い |
| 70万円〜 | Gibson Custom Shop Les Paul Custom | ヒストリック級。ビンテージの質感に迫る |
私の見立てでは、まず10万円前後のEpiphoneで「レスポール・カスタムの重心の低い音」を体感し、気に入ったら本家ギブソンへ——という順番が、失敗が少なくおすすめです。カスタムは重量のあるモデルなので、必ず一度は実物を抱えて、重さと弾き心地を確かめてから決めてください。
配線キットで「ペイジ配線」を自分のレスポールに
もう一つ、通好みの選択肢があります。すでにレスポールを持っている方なら、配線キット(Jimmy Page Wiring)で、ペイジ流のコイルタップやフェイズ切り替えを自分のギターに再現できます。数千円〜のパーツで音のバリエーションが一気に広がるので、費用対効果は抜群です。
なお、中古で「ジミー・ペイジ仕様」を謳う個体を買うときは注意が必要です。上のポストのように、公式には存在しない仕様のものが「ペイジ仕様」として出回ることもあります。正規のシグネチャーモデルの仕様(Page Burstbucker・6ウェイ配線など)を知っておけば、こうした怪しい個体を見分けられます。



本物は無理でも、近い音は出せる?



十分出せるよ。Epiphoneのカスタムに配線キットを足せば、雰囲気も音もぐっとペイジに近づく。まずは手の届くところから始めるのが、長続きのコツだね。
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さて、ここまででBlack Beautyのほぼすべてをお伝えしました。最後に、細かい疑問をFAQ形式でまとめておきます。
ジミー・ペイジのよくある質問(No1の音・使用弦・他のギター)
最後に、検索でよく聞かれる疑問をまとめてお答えします。
Q1. No.1(サンバースト)とBlack Beauty(カスタム)は音がどう違う?
ざっくり言うと、No.1(スタンダード・2PU)は太くまとまった「ザ・レスポール」の音、Black Beauty(カスタム・3PU)は3つのピックアップぶん音色の幅が広く、より多彩です。ツェッペリン全盛期のリフやソロの多くはNo.1、セッション時代の色とりどりの仕事はBlack Beauty、と役割で分けて覚えるとスッキリします(詳しくはH2-2の比較表を参照)。
Q2. ジミー・ペイジの使用弦は?
ペイジは比較的細めのゲージを好んだことで知られます。時期によりますが、09〜または08〜あたりの軽めのセットを使っていたとされます。あの流麗なチョーキングやレガートには、細めの弦のほうが合っていたのでしょう(正確な型番は時期により諸説あり)。
Q3. ペイジはレスポール以外にどんなギターを使った?
代表的なのは以下です。ペイジは曲によってギターを使い分ける名人でした。
- Fender Telecaster(ドラゴン・テレキャス)――実は「天国への階段」のソロはこれ
- Gibson EDS-1275(ダブルネック)――「天国への階段」のライブ演奏で使用
- Danelectro 3021――変則チューニングの曲で活躍
- Martin D-28――アコースティックの名演を支えた
Q4.「天国への階段」のギターソロはレスポール?
意外に思われますが、あの名ソロはレスポールではなく、フェンダーのテレキャスターで録音されたというのが有力な説です。この話は別記事で詳しく掘り下げているので、興味のある方はあわせてどうぞ。
まとめ:黒いレスポールが刻んだ、ロック史の一章
長い記事にお付き合いいただき、ありがとうございました。ジミー・ペイジのレスポール・カスタム「Black Beauty」について、要点を整理します。
- Black Beauty=1960年製Gibson Les Paul Custom(黒・3PU)。サンバーストのNo.1・No.2(スタンダード・2PU)とは別物
- 3基のPAF・ビグスビー・6ウェイ配線が、セッション時代の万能サウンドを生んだ
- 1962年に185ポンドで出会い、1970年に空港で盗難、2015年に45年ぶり帰還、2019年メトロポリタン美術館で公開
- 音を出す鍵は「ブリッジ側ピックアップ+トレブル高め」とアンプ(Supro/Marshall)
- 本物は約230万円クラスだが、Epiphoneのカスタム+配線キットで現実的にペイジの世界に近づける
1本のギターに、これほどの物語と音楽が詰まっている——それがBlack Beautyです。あなたがもし黒いレスポールに惹かれているなら、まずは手の届くカスタムを1本、抱えてみてください。ペイジがセッションの現場で感じた「これだ」という手応えの、ほんの片鱗が味わえるはずです。
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この記事を書いた人:KOTOBUKI
中学でフォークギターを手にして以来、約40年ギターを弾き続けているギターオタク。高校・大学でエレキに転向し、クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ、イーグルスなどウェストコースト系まで幅広くコピー。レッド・ツェッペリンの曲も数多くコピーしてきた。大学時代にはギターコンテストで受賞歴があり、楽器店でギター講師のアルバイトも経験。40代後半からはアドリブ習得のため、是方博邦氏・宮脇俊郎氏に師事。
所有ギターは16本。ジェフ・ベックモデル(ストラト&レスポール)、クラプトンモデルのストラト、EVH AXIS、Martin D-28、YAMAHA セミアコ SA1200 ほか。コピーした曲は200曲以上。3大ギタリストを研究し、憧れのギタリストのモデルを弾き比べる、ファン兼プレイヤーの視点で機材と音楽を語ります。
